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ボイスメカニクスシリーズ
ボイスメカニクスシリーズは、 声が持つ「機能性」と「呪術性」という二つの面をモチーフとして開発されたナンセンスマシーンです。

声の「機能性」

声が出るプロセスは、大きく四つあります( 図2)。
1 空気の流れを作る・・・・・・・ブロアー(Blower )
2 音を発生する・・・・・・・・・・・ソース (source)
3 音色をかえる・・・・・・・・・フィルター(filter)
4 「1,2,3」を制御する・・・コントロール(control)
多くの楽器は、音の発生の段階(=ソース)で、正しい音程が出るように調律されています。しかし声を楽器として見た場合、「正しい音程」が決まっていなく、とてもルーズです。また音色を変える(=フィルター)では、舌や歯やくちびるなどを使い、言語のような複雑な音色の変化を行います。

こうしたしくみはすべてやわらかい「筋肉」でできており、その微妙な動きは「脳」によってコントロールされています。このような生物の持つ発声のしくみを、無機物で構成された機械で再現することは、とても興味深いエンジニアリングです( 図3)。
感情をしばる「呪術性」

声という音には「呪術性」があり、簡単に人間の感情をゆすぶることができます。たとえば、犬の吠える声を聞くと人間は警戒します。赤ん坊の笑い声を聞けばやさしい気分になります。また音程の変化のある歌声を聞けば、さまざまな喜怒哀楽の感情が生まれます。この声の持つ「呪術性」は、理性を超えた不可思議なものですが、声そのものは「機能性」もった機械という理性で再現できます( 図4)。
この「機能性」と「呪術性」という両面性は、たとえば「魚器シリーズ」の名前に表れている「魚(呪術性)+ 器(機能性)」や、EDELWEISS シリーズの「EDEL(機能性)+WEISS(呪術性)のように、明和電機のナンセンスマシーンがつねに持っている特徴です。
さまざまな声の機械の開発
現在、ボイスメカニクスシリーズとして、以下のようなさまざまな声を発生する機械を作っています。
・「歌声」を再現する機械・・セーモンズ、オタマトーン
・「犬の吠える声」を再現する機械・ディンゴ、バウガン
・「笑い声」を再現する機械・・・・ワッハゴーゴー
このほかに空気制御の実験として「ピアメカ」のような楽器の開発も行っています。また、オタマトーンのように、大量生産することで大衆への普及を行い、今日の情報化・電子化する楽器たちの中で、メカニカルなしくみの新しい楽器の可能性を広げています。